空前の人不足、売り手市場だったはずの大学新卒者市場。戦後最長の景気回復、団塊世代の退職を背景に大企業の大量採用に支えられ、2006年あたりから復調、好調に推移していたはずの大学生の「シューカツ」(就職活動)だが、最近、その状況に変化の波が訪れているようだ。
10年春に入社予定、現在の大学3年生の就職活動は、厳しさを増しつつあるという。リーマン・ショックや世界同時株安など、世界の金融、経済情勢が 不安定さを増す中で、国内景気も陰りの色を濃く見せ始めており、これに伴って企業求人・雇用情勢も一時の勢いがうせているようだ。
現に、厚生労働省が10月末、明らかにした9月の有効求人倍率は0.84倍(季節調整値)。前月を0.02%下回り、8カ月連続の低下となり、4年ぶりの低水準に陥落。総務省が発表した同月の完全失業率は4.0%(同)、失業者数は前年同月から2万人増加していた。
今後は、金融不安の影響が顕著に表れはじめる10月あたりから、人材市場の動向も一段と悪化していく公算が大きいとの見方が有力。企業が新卒者の採用を絞り込むことは確実視される状況にある。
バブル崩壊後の、いわゆる「失われた10年」の間の超・氷河期に就職活動を行った世代(現在、主に25歳―35歳の世代)を「ロストジェネレーショ ン」略して「ロスジェネ」世代と呼ぶが、現在、また少なくとも今後数年のうちに就職活動を行うこととなる大学生は「第2の“ロスジェネ”世代」になるので はないかとの懸念が広がっている。
一方で、こうした状況に、にわかに色めき立つのは「シューカツ生」(就職活動中の学生)に抜群の知名度を誇る大手人材関連会社という。
ロスジェネ世代が過去に経験したし烈な就職競争は「勝ち組」「負け組」といった世相を反映した言葉も生み出す一方、これを生き残るための方策として、就職活動の高度化、効率化、そしてインターネット化という現象をも呼び起こした。
言い換えれば、企業が最低限のコストで有能な人材を集めるために、採用システムのアイデアや就職セミナー、イベント集客に長けた人材関連会社との採用活動の連携を深め、その収益を急成長させた期間でもある。
企業収益不安の中では、単に人材募集サイトの広告出稿に伸び悩むことは避けられそうもないが、エン・ジャパン(4849・HC)や学情(2301)といった採用イベントに強みを持つ人材関連企業の比較優位性はむしろ強まる公算。毎日コムネット(8908・JQ)が手掛けるような、クラブやサークル、ゼミ単位でのスキル、コネクションを生かすためのユニークなサービスのかたちにも注目したい。
リンクアンドモチベーション(2170・2部)やアドバンテッジリスクマネジメント(8769・HC)のような、できるだけ現有戦力の戦線離脱を防止するためのサービスにも活路が広がる可能性もある。(H)
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