オフィスや工場、病院などさまざまな職場で働く外国人労働者。少子化で今後も受け入れ増加が続く見通しだ。待遇改善や地域共生を進めるには政府の総合的な外国人雇用政策が不可欠である。
厚生労働省の推計では合法的な外国人就労者は二〇〇六年で約七十五万五千人。これに難民や不法就労者を加えると百万人近くになる。労働力人口の約1・5%を占める計算だ。
合法的就労者はこの十年間で倍増した。少子化で人口減少が進む日本が将来とも持続的成長を実現するためには、多くの外国人材に頼らざるを得ない。その数について「人口の10%程度」とか三百六十万人などの試算がある。
またインドネシアとフィリピン両国とは経済連携協定(EPA)で看護師・介護福祉士を受け入れることが決まり、今夏にインドネシアから第一陣として二百人余りが入国した。国際協力の面からも外国人労働者は着実に増える。
だが国や自治体、企業の受け入れ態勢には不備が目立つ。
たとえば専門的・技術的分野の「高度人材」。雇用形態は半分が非正規雇用で、月給も二十万円台が約65%を占めるという。外国人を幹部人材へ登用する意識が企業に乏しい点が指摘されている。
「外国人研修・技能実習制度」は中小企業などへの単純労働者送り込み制度になっているとの批判が根強い。厚労省の調査によると賃金不払いなどの違反で昨年に指導を受けた事業場は、前年比約一・六倍の千九百七件もあった。
日系南米人など「身分に基づく在留者」は約三十七万人もいる。自動車や電機などの工場勤務者が多いが、雇用は派遣労働や請負業務が大半。最近の金融危機の影響で失業者が増えつつある。
このため岐阜県美濃加茂市など全国二十六市町で構成する「外国人集住都市会議」は政府に対して日本語学習への支援強化とともに、外国人政策を総合的に推進する組織の設置を強く求めた。
また日本経団連は五十年後の経済社会を展望した提言をまとめ、その中で外国人材の積極獲得と定住化推進のために「日本型移民政策」の検討を訴えている。
政府は外国人雇用政策を一段と強化する必要がある。とくに批判の強い研修・実習制度は労働法令の適用徹底と受け入れ団体の許可制導入など抜本改革が必要だ。単純労働者を含む移民受け入れは引き続き慎重に議論すべきである。
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