2007-12-11

中小企業、大手OBの活用加速――新卒採用難で団塊が供給源に

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 関西地区の中小・ベンチャー企業が大企業を定年退職したOBの活用を本格化している。新卒、中途採用に苦心し、全国水準以上の人材不足が続く中、今年か ら定年を迎え一斉に退職しつつある団塊世代は格好の人材供給源。技術指導者などとして迎え事業拡大に生かす。高齢者再雇用と中小の人材拡充支援の両方を満 たせるとあって、自治体や公的機関も仲介組織を立ち上げるなど制度面で後押しする。

 山本ビニター(大阪市、山本泰司社長)は7月、旧松下電子工業を経て松下電器産業の半導体子会社、パナソニック半導体ディスクリートデバイス(京都市) 社長を務めた技術者を顧問として迎えた。同社は食品や医療関連など新規分野の顧客開拓が課題。新製品の開発や若手技術者の育成を指導できる人材を求め、大 阪商工会議所に仲介を依頼した。

 イオックス(大阪府東大阪市、中村克弘社長)も日立造船で触媒開発に携わった研究者を採用した。金属微粒子の量産化技術を確立しており、大手企業で培った経験やノウハウを用途拡大などにも生かす方針だ。

 活用は常勤雇用に限らない。立川ピン製作所(大阪市、立川俊一社長)は三菱電機や住友金属工業出身の技術者を月1回の新製品の開発会議に招き、意見を聞 いている。アクアテック(大阪市、大西彬聡社長)は大阪府などの仲介で日本触媒など大手出身の技術者ら3人を採用し、週2回程度の非常勤で研究開発の指導 を依頼している。

 近畿経済産業局が10月発表した中小企業景況調査によると、関西地方の7―9月の従業員数過不足DIはマイナス4.3と14・四半期連続で「不足」超に なった。全国的にも不足が目立つ金属、一般機械関連の業種の構成比が高いため、全国の数値(7―9月でマイナス3.6)を上回り「適切な人材の採用に至ら ない」など人材獲得に悲観的な声が寄せられている。

 大手商社OBを採用したマテリアルデザインファクトリー(大阪市)の中山弘氏は「若手を一から教育する余裕はない。即戦力の大企業OBは貴重な存在」と 指摘。山本ビニターの山本社長は「製品を売り込める見通しの企業や技術提携できそうな企業の情報量や人脈が抜群」と採用の効果を強調している。

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