2007-12-11

「人の命が一番」介護人材確保を目指し“討ち入り”

:::引用:::
介 護者が幸せでなければ介護される人も幸せになれません―。介護人材の不足により介護保険制度が崩れ始めていると指摘される中、NPO法人「高齢社会をよく する女性の会」(樋口恵子理事長)は12月9日、討ち入りシンポジウム「介護人材確保に向けての緊急大集会“介護は待ったなし”」を東京都港区の虎の門 ニッショーホールで開催した。シンポでは、介護従事者や経営者25人がリレー形式で厳しい現場の実態を報告したほか、各党の幹部クラスである5人の国会議 員が人材確保に向けた政策を議論した。参加者らは「人の命が一番大事」という認識を共有。最後には、同会のメンバーらが赤穂浪士の討ち入り姿で壇上に上が り、力を合わせて命を支える介護人材の待遇改善を訴えた。

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介護人材の不足が深刻な社会問題になっている。介護従事者の1年以内の離職率は20.2%。これは全産業の平均17.5%と比較して高い。この原因の一つに低賃金が挙げられる。調査によると、全産業に比べ月収で10万円ほど介護分野では下回っている。
 このような現状を受けて同会は今年9月、介護従事者の賃金に1人月額3万円を上乗せする「介護人材確保緊急措置法(3万円法)」(仮)の制定を柱とする緊急提言を、舛添要一厚生労働大臣や各政党代表宛てに提出。この要望を基に今回のシンポを開催した。

  シンポではまず、同会の樋口理事長が大会あいさつ。樋口理事長は「国民の共有財産である介護保険制度が労働力という観点から崩れ始めている」と指摘。「人 間の老いを支える介護が、世代をつなぎ、地域をつくるという認識を持ち、その要である介護人材確保に向けて3万円法の成立を目指すべき」と話した。

  また、『福祉と医療・現場と政策をつなぐ「えにし」ねっと』の“志の縁結び&小間使い”でジャーナリストの大熊由紀子さんが講演。寝たきり老人のいない福 祉先進国のデンマークでは「介護される人の誇りを膨らませる支援をするのがヘルパーの仕事」と紹介する一方、「低介護費の日本の中でそれが実現できるの か」と問題提起した。

 さらに、「介護最前線から訴える」と題し、全国から集まった総勢25人の介護従事者や経営者がリレー形式で現場の厳しい実態を告発した。
 熊本市から参加したホームヘルパーの小山睦子さんは、17年間の勤務経験を持ちながら正規職員になれず、賃金も入職当初から6万円ほどしか上がっていないと発言。職場では若い世代も集まらないと話し、「介護職が未来に希望を持てるようにしてほしい」と訴えた。
 独立のケアマネジャーを務める本間清文さんも、「現在の介護報酬ではケアマネの中立公正な業務が保たれない」と指摘。このほかにも現状の改善を求める声が多く上がった。

 こうした相次いだ声を受けたのち、自民党・公明党・民主党・共産党・社民党の幹部クラスの国会議員5人が介護人材確保の実現に向けた政策を闘わせた。
  与党議員は、人材確保に伴う質の高い介護サービスを実現する財源の確保に関して「次世代への責任」を強調。介護保険料や利用者負担の増加など「覚悟を持っ て相応の負担をする必要がある」と語った。これに対して、野党議員は「負担増をせずとも税金の使途などを検討し直すことで人材確保対策は可能」と話すなど 議論は真っ向から対立。しかし、「人の命が一番大事」とする認識では一致し、司会を務めたさわやか福祉財団の堀田力理事長は「超党派でビジョンを示して国 民に問うべき」と呼びかけた。

 シンポの最後では、同会のメンバーが赤穂浪士の討ち入り姿に扮(ふん)して壇上に上がり、14万筆を超え る署名を舛添厚労相宛てに提出することを力強く約束。樋口理事長は「介護労働者が幸せでなければ介護される人も幸せにならない」として、「力を合わせて介 護人材の待遇改善に取り組もう」と結んだ。

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