2007-12-03

IT資格試験相互認証

:::引用:::

 海外の政府または政府に準ずる機関が実施するITエンジニア資格試験と、日本の情報処理技術者試験の内容を見比べて、互いの合格者のレベルが同等である と相互に認めること。2001年以降、日本政府はアジア諸国との相互認証を急ピッチで進めている。インドとは2001年2月に合意。同年8月にはシンガ ポール、12月には韓国と結んだ。その後昨年1月から12月にかけて、中国、フィリピン、タイ、ベトナム、ミャンマーと相互認証を果たしている。
 相互認証により、海外のITエンジニアは日本の労働ビザ取得が容易になった。海外の試験合格者に対して日本在留の交付資格を認めるようになったからだ。 これまで在留資格の交付対象は、「理科系大学の卒業または同等以上」、または「10年以上の実務経験者」に限られていた。
 日本政府は「2005年までに海外のITエンジニアを3万人受け入れる」という方針を打ち出している。相互認証は、この方針に沿った入国緩和施策の一環だ。

 相互認証を交わしているインドの例を見てみよう。日本の情報処理技術者試験のうち、「基本情報技術者試験」と、インドのIT省が行う「DOEACCド アック試験」のレベルAを同等と見なす。DOEACCのAレベル合格者は、日本の在留資格証明書の交付要件を自動的に満たすことになる。
 DOEACCはレベルO、A、B、Cの4ランクからなる。レベルCが最高である。Aレベルが理科系大学卒業程度に相当するという。韓国との相互認証も基本的にインドと同じく、基本情報処理技術者試験とのものである。
 中国とは、これまで合意を交わしてきたインドや韓国よりもさらに踏み込んだ相互認証を実施している。プロジェクト・マネジャやシステム・アナリストな ど、より高度な専門性を問う資格についても、相互認証の対象にしている。中国のシステム・アナリスト試験に合格したエンジニアは、日本のシステム・アナリ スト、プロジェクト・マネジャ、アプリケーション・エンジニアという三つの資格試験の合格者と同レベルと判断する。中国の試験は信息産業部(通信とIT分 野を管轄する政府機関)が実施するもの。この十数年で延べ約70万人が試験を受け、合格者は10万人を超えるという。

 相互認証が進むことで、ユーザー企業は海外のITエンジニアの雇用が楽になる。在留資格を取得させるのが容易になるし、資格取得の有無を採用の目安にすれば一定のレベルも担保できる。
  一方、日本のITエンジニアは否応なしに国際競争に巻き込まれることになる。ユーザー企業にとっては高度なスキルを備えたITエンジニアがそろえば、国籍 はさほど関係ない。中国や韓国では日本語の達者なITエンジニアも増えている。相互認証はユーザー企業にメリットをもたらすとともに、ITエンジニア個人 にプレッシャを与える施策ともいえる。


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